欲しいもの。
私には小さい頃からの癖がある。
家族でゲームをしている時、
自分が負けそうになると、決まって泣いていた。
そうすればみんなが私に勝たせてくれる。
今だってそう。
その癖が抜けきれていない。
泣いたら何かが変わると思っている。
泣いて、誰かが私を勝たせてくれると思っている。
でももうそんなことはない。
私には誰もいない。
だから誰かが勝たせてくれるなんてことはない。
でも私は泣き続ける。
なんのためか。
そうしていればいつかは、
そんな思いがあるのかもしれない。
■
私はなんて卑怯者なんだろう。
秘境で生きている資格なんてないのに。
まだこうやって生きることに甘えている。
薬じゃダメなのはわかってる。
卑怯者は消えなきゃ。
早く。
私というもの。
いつまでもここにいるわけにいかない。
私という存在をとどめておくわけにはいかない。
私は在るべき場所に戻らなければいけない。
私が私で居られる場所。
もうここにはないのがわかったから。
私は支度をしなければけない。
今日はロラぜパムを4錠。
睡眠安定剤はもう切らしちゃったから。
抗うつ剤でなんとかするしかない。
戻ろう。
またあそこに。
■
死にたい。
寝れない。
生きるのが怖い。
■
All I have to do now is finishing my duty.
夢を見たい気持ちと、それを邪魔する思い。
私だって夢を見てみたい。
もう一度、私が生きたい世界で生きていたい。
それがどんなに人生を豊かにするのか、
私自身が一番よくわかっている。
何よりも生きている喜びを感じられ、何よりも自分を好きでいられて、
そして何よりも、私も幸せになっていい自信があった。
でも、私はまたくじけてしまった。
人生の喜びに、体が恐怖を覚えてしまった。
逃げることが精一杯で、
常に生きていくのが怖くなった。
どうあがいても私はこの苦痛から抜け出せない。
暗い、冷たい、何もないこの空間から。
そこには私が夢を描いていい権利なんかない。
それも、自分が選んだこと。
選んで進んでしまった道の上に、
この場所が存在しているという事実だけ。
何を、誰に言ってもこれは私が選んだ道。
私が選んで、自分で進んだ道。
それが私。
事実という現実に押しつぶされて、
暗闇という、この心地よい地獄に身を委ねて、
何者にもなれず、ただここに居続ける。
夢は、見れないもの。
そう、自分の心に刻み付けるように何度も繰り返して。
そしてまた、
落ちていく。
春という季節の意味。
暦の上では4月を5日過ぎて、
テレビでも新学期、新生活、桜の開花、
そんな話題しかやっていない。
天気の話で言えば、新潟はまだ春とは言えないかもしれない。
暖かくはないし、空も(多分)まだ春らしいとは言えない。
ただ、
さっきも言ったように、この時期をすべての人が喜んでいるかのように思えてしまう。
外の世界の出来事。
今の私にはそう映っているけれど、
本当にみんながみんな、春を待ち焦がれているのだろうか。
私にとっての春という季節の意味はなんなのか。
記憶を辿る限りでは、
まだ学生という意識の中で生きていたから、
新学期や入学で新しいことが始まる。そんなこそばゆい時期だったと思う。
桜の咲く風景も、すごく、純粋な気持ちで見れていた気がする。
もう少し最近のことを考えて、思い出す。
3年前。
春は私にとって地獄のような時期だった。
あの時の私も、その前の秋から冬にかけて、息を殺して、誰にも会わないように、
暗闇の中で生きていた。
ただ、寒い時は寂しい思いもあったけれど、それは逆に、どこか自分が閉じこもることを許されているような気がした。
それが、時間が経ち、季節が春に変わろうとしている時、
部屋の中で感じた、暖かさ。
そこにいる事を責められているかのように。
私が生きていることさえ、責め立てられているかのように。
春の暖かさは、辛くて、ジリジリと私を苦しめた。
今、
またあの時の気持ちが蘇ってきているように感じる。
これからどんどん春らしくなってきて、
一人何者でもない私、どこにも居られない私を、
ゆっくりと、でも確実に、苦しめていく。